あの、有難う御座います。
私こそ、注意力散漫で恥ずかしいわ。
書斎に気をとられて、扉の前をぼんやりと横切るなんて。
『と、いう事にしたのかね』
[負けじとにっこり微笑み返し、差し伸べられた手を取った。
立ち上がってから丁寧に頭を下げて、胸元へ指を添える。
目の前の彼にできたのだ、永恋にだってメイドさんオーラを出す事は可能だろう。
リエーフの皮肉はさらりと聞き流した。
彼にどこまで見られていたかわからないけれど、覗き見していたのを悟られるのは避けたい。
書斎に戻るところを見られていたのなら「色々恥ずかしくて」と誤魔化せばいいし、そうじゃないのなら押し切るだけだ]