[この身に宿る血は平原を渡る流浪の民の血。 ゆえに、心の底からは新たな地に馴染み切れなかったこと。 国の構造を学び識る度に、その在り方への思索に没頭し、 成長と共に募る違和感と焦燥を捨て去ることが出来ずにいたことを。 義父は何も言わずともそのまま見抜いていて。 「思うままに生きろ」と今際の淵で聞き取った言葉、 遺言になってしまったそれすらも、恐らくはずっと以前より、 自分への餞として用意してくれていたのだろう。]