[演奏が始まる前のこと。
リクエストは次回への保留と言われれば、快く頷く]>>159
ああ、昼間は大体いつもこいつを持って歩いてるから。
聞きたくなったら、いつでも適当に捕まえてくれ。
[演奏中は音に没頭しがちだが、周りを見ていないわけではない。
仕事として留まった彼女が、曲が進むにつれて次第に引き込まれ、耳で、目で、真っ直ぐに音を受け止めてくれるその様子に。
嬉しく思う高揚は、次に奏でる音へと込められただろう。
演奏後に拍手を向けてくれたときは、惜しいことに、込み上げる吐き気のせいで顔を見ることが出来なかったけれど。>>150]