[感情の乗らぬ囁きが、耳朶をするりと伝い、身の内には沁まず滑り落ちる。円舞のリードの如く軽やかな足取りは、無様に足掻く身体を導き、易々と勢いを削ぐ>>156] 何を、言って…… いいから、離してよ! そうじゃないと……っ、[チャイルドの身を庇うかのような所作を見せたフードの主に、“追っ手”と下していた判断は着地点を見失う。されど、只ならぬ気配が幾つも感じられる今、足止めすべき相手は他にも存在する。身体はそう判じて、封じる手を凍てつかせようと、冷気を指先まで送り込む]