[解かれ自由を得た手にはもがいた際に布地に擦れた跡が薄ら残る。
心酔する野茨公に与えられし官能に上擦る声は抑えきれず吐息に混ざった。
野茨公の艶やかに濡れたくちびるが纏わせし潤いに熱を孕むを感じ
不完全なその陽の徴は小さく震えて与えられる愛に応える。
耳に届く水音が羞恥煽り眩むような思いがした。
ぐ、ときつく己の手を握りしめるさまは官能の波に堪えるようにもあるが
高貴なるそのひとを傷つけまいとする思考がそうさせていた。
余韻を残しながら離れるを感じ、名残惜しげな吐息と眼差しを寄せる。]
――…自分で自分を赦せなかったのです。
けれど、今、あなたが認めてくれる。
それが私にとっての、救いで――、赦し、なのでしょう。
[甘く艶やかな主の音色に、上がる息のまま応えるも
囁きには羞恥の色を濃く刻み、
整った指先の訪れに喉をそらしくぐもる声を漏らした。]