─ リーゼロッテを見送って ─
[去って行くピンとした背筋を見送りながら目を細める。]
後悔していないから正しかった、か。
いい娘御だね。
[年月を重ねたせいか、何を見聞きするにしても心が鈍くなっていく気配に覚えがあったけれど。飾り気のない真直ぐな言葉は、胸の奥まで不思議と響く。]
揺り篭は如何に揺らされし。
何処から生まれし影なりや
[>>62 王城に縁のあるであろう娘御が零した言葉が、胸の内に影を落とす。]
ふむ、貴人のことは貴人に聞くべし。
…と、いったところかね。
[教会から貴族街へと歩みを向ける。その道中、祈るような青年の姿をみつければ、通りがかりに会釈を交わして。>>147 ]