[そうやって話している最中だった。
フリーデルが淡々と、しばらくひとりになりたい意思を告げたのは。>>110
はっきりと、他の誰でもない、今のこの場を支配できそうなシモンに彼女はそれを訊いた。
いつもならば「きっと疲れてるだけだよ。寝ればすっきする」とでも言って、
笑って見送ったというのに、
今のエルナにはフリーデルにかけるべき言葉が見つからない。
ただ、視線を送り続ける]
…………。
[立ち去る間際の声は確かに聞こえていた。>>120
頷くことはできなかったけど、
言葉をつかまえておくみたいに胸の前に手を置いて、見送った]