― 朝・自室 ―
[戦場にいた頃は人の動く気配で目が覚めた。
人狼と対峙してからは、毎晩のように悪夢を見て飛び起きた。
ここ数年、男がまともに眠れたことなど無かった。
――筈なのに。]
……… もう、朝…か?
[薄目を開けて、窓の外へと視線をやる。
差し込む光が、既に日が昇っていることを示していた。
夜中に一度も、目が覚めなかったことに、
男は驚きの表情を浮かべる。
ニコラスが近くに居たというのに、目が覚めなかった。
毎晩のように見ていた悪夢も、見なかった。
何故?ニコラスが側に居たから?]