[ 新手が現れた事で、戦闘の激しさを増したその上空を猛禽達の群れが飛び過ぎる。
群れが橋の北側...エルルットの町が見えるあたりまで到達すると、ピィーーーッ!と、甲高い笛の音がやはり魔法で増幅されて響き渡り、その笛を合図に、鳥達は、運んで来た油の腸詰めを次々と放して地上へと落としていく ]
[ 上空から落下した薄い腸詰めの皮は、地上にひしめくコボルトやゴーレム、アンデッドの群れに当たると容易く破れて、周囲に油を撒き散らす ]
『将軍!』
『御無事ですか!?』
[ 油の匂いが死者の臭いを凌駕しようとする頃、後詰めで駆けつけた騎士達が、赤紅の敵手と対峙しているヨセフの元へと駆けつけんとする。
彼を決して失えぬ要の将と、そう認識しているのは、皇太子一人ではなかった ]
『火を使います!風上へ!』
[ 風向きは、南東から北西へ。この季節には海から内陸への強い風が吹くと、この国に生きる者なら知る事だ ]