一冊の本。
それに出会ってしまったせいで私は今ここにいる。
新たなる約束の地、"ネオ・カナン"について書かれた本に私は魅了された。
行きたいと願ってしまった。]
自分1人で行けるわけないのに…ほんとバカ…
お父さんもお母さんも、私が頼みごとをするなんて初めてだったから快く了解してくれちゃって…
あぁんもう!帰りたい…怖い……どうしよう……
………………ぅっ……気持ち悪くなってきた……
[ベッドの上でジタバタしながらネガティヴな独り言をもらす。
しかし、気分の悪さを感じるとベッドから上体を起こした。そしてゆっくりと立ち上がり、フラつきながら部屋を出る。
────いけない。なんかぐるぐるする。医務室…あったっけ。
慣れない場所だからだろうか、症状は悪化するばかりだった。
部屋を出る前には辺りに誰もいない事を確認したはずだが、なにせ視点が定まっていない。いたとしても見逃してしまっていただろう。
壁に手をつき、ゆっくりと医務室を目指した。]