[彼に止められたのはキスだけだったので、次第に堪らなくなり伸ばした腕で掻き抱いて縋り付く。感情や理性がどこかへ押しやられてしまえば、身体が求め欲するままに、彼の首筋に肩に、強く牙を立てただろう。汗の混じる命の味は、ふだんの味気なさと異なり、クレステッドのもの以外では初めて、少しだけ、美味いと感じた][いつだって、ただ求められる事を欲していた。それ以上は望まない。それだけで良い。それが「彼」では無かった事実に、ずきずきと痛む胸には気付かない振りを*決め込んだ*]