[>>131視線を交わしたジークムントの翠は瞬いていた。
眩暈を感じたのは至近距離では悟られていて。]
いや、すぐに慣れる。
……誰かに血をやるなんて久々だったからな。
[案じるような視線と共に、何か返せるものを、と聞けば]
――それなら今度はお前の血を吸わせろよ。
”首筋からじゃないと嫌”だぞ?
[にやりと笑って紡いだ言葉は意趣返しのつもり。
彼が吸血された経験がどれ程あるかは知らないが、目の前の男が吸血されたらどうなるかを見てみたいという欲も相俟って。
ジークムントの髪に絡めていた手を解いて肩を軽く押せば、彼は一歩後ろに下がった。
それでもまだ肩に手は添えられているので近いとは思うが、相手の見目の麗しさもあって早く離れろと拒絶する程ではなかった。]