[叔父さまにお辞儀をする際>>156スカートを摘み上げる高さに気遣う。
その手はそっとスカートの上から太ももの辺りに触れた。
───父さん……。
触れるのは掌に収まる大きさの金属物。
父が『お守り』だと持たせてくれたもの。
これがあれば、男の人相手でも大丈夫だ、と。
側に居られない自分の代わりだ、と。
代議士の娘に何かあっては、仕事に差し支えるのであろう。
そんな父の気持ちは分からなくもない。
まだそれがキチンと手元にあることを確認する。父の顔が浮かんで思わず眼が潤みそうになるもそれはグッと堪えて。]