― 図書館 ―
[周囲になにもいないことを確認して、その扉を押す。
重い扉を開けて滑り込んだそこは、外の喧騒と切り離された静寂の世界。
扉が閉まったあともしばらく耳を澄ませ、だれも追ってくるものがいないのを確認したのち、壁際で一息つく。]
はぁぁ。ひどいことになったなぁ。
[やれやれとついたため息が、静かな空間に思いのほか響いてしまい、慌てて口をつぐんだ。]
ここは……図書館ってやつか?
[とりあえず壁の厚そうなところ、と逃げ込んでみたけれど、こういうところで吸血鬼とやり合う羽目になったら、少々気が引けるなあと、居並ぶ本の群れを見回しながら物見高く歩いていく。*]