[―――寒村の冬は、長い。
4年前、春と呼べる時期に初めてこの村を訪れた時にはまだ雪は解けきっておらず。
やがて季節が巡り冬を迎えれば村から出ることもできなくなり。
箱入りの世界で過ごす一日は、街で過ごすそれよりずっとずっと長く感じられた。
エルナは時間を潰す術を求めた。
機会あればおしゃべりに興じ、冬になるまでは一度しか足を運ばなかった図書館にも赴き、
そうしてそこで編み物の本を勧められた。司書の女性からである。
上手くいかないうちに飽きて編み物をやめてしまった覚えがあったから最初は渋ったものの、
励まされるような形で、冬の長い時間(主に夜)を編み物に費やすことにした]