[見張り台からは矢や火球が敵陣めがけて飛んで行く。
狙いを定めている様子のないそれは、味方の損害も辞さないという割り切った攻撃方法だった。敵兵力を削げれば、封印した城門を開くことは出来まいと。その間に竜牙兵が敵を殲滅し、儀式の完成を待つ――それが、彼の描いた「最悪の」勝利のシナリオであった。
ベネディクトの指揮する部隊は散会し、各個撃破を進めているが。
今のところ、それは上手く行っているようにも見える。
アンデッド化した小型の亜人は、恐怖こそ感じないとはいえ、一体一体の力は生前よりも劣るようだ。また、完全に身体が損壊した亜人はもう起き上がることはないらしい、ということもわかるが、果たして。
クレステッドの身体は、今もなお刻一刻と薄れていく*]