[古い型の通信機。
シルバーメリー号の乗員には、乗船の際に
新しい型のものが支給されていたはずだし
誰かの私物かも知れない。
しかし、乗客のものだとすれば、
ダーフィトからの通信が入るはずがない。
…となれば、これは誰のものだ?
考えたところで答えは出なかったが、少なくとも、
乗員のものという保証はたった今、為されてしまった。
他でもない。ダーフィトの手によって。
ベルが立ち入る前に現場に入ったか、
それとも、ベルと一緒にか。…その後にか。
疑問は尽きなかったが、自分一人で考えたところで
結論は出ないだろうと思い、サロンへと向かう事にする。]