ぴぃ、
[金糸雀は、ハチドリのようにストロー状になった嘴で軽く女性の首元をつつく。飢えに乾いた金糸雀には、その白い首筋がさながらフルコースのように見えた。
どうやら、もうあまり我慢が保ちそうにない。
ヒトの形を取っている時よりもずっとずっと非力になってしまった鳥の体では力ずくで血を奪うのは難しい。だから「媚びて」油断を誘わなければならないのだが、――]
ぴぃ、ぴぃ
[その間にも食事を求める本能は五月蝿く悲鳴を上げ続ける。
(無防備に肩に乗せるなんて、不用心な子。)
(今なら首筋は目と鼻の先。きっと、間に合う。)
だから金糸雀は、女性の質問>>164には答えずに。
その針のような嘴を首元に突き刺そうとした。]