生きた人狼か――貴重なサンプルだ。
出来れば殺さず、冷凍睡眠措置にしてもらいたいが――……、
[――白猫にしてみれば噴飯ものであるだろう呟きを洩らして、男は事態の認識を終えた。
あまり深刻には捉えていないのには、無論、理由がある。
男がガルーについて研究していたのは、寄生体を検出する方法だったからだ。
まず以って寄生の有無を検出できなければ、その先の研究などできやしない。
治療法を研究したって効果が判断できないし、寄生経路も調べようがないのだから。
数多の辺境惑星から連れてこられた新種の生物たちを解剖した。
何光年も離れた星の、自然には出会うはずのない遺伝子を組み合わせた。
命の値段が安い星を訪れて、治験と銘打った人体実験さえも繰り返した。
かくして男の研究は、成果らしきものを得る段階に達していた。
らしきもの――というのは、これまで実証実験をする機会がなかったので。
ともかく、かれは【対象者が人狼か否かを知る手段を有している】――と、本人はそう信じている*]