[ウルケルがこの会戦に投入した戦艦数は2。
それが、帝国の戦艦列へ艦首を向け、波を蹴立てて進んでくる。
風がその後押しをしていた。]
自ら望んでT字にしてくるか。
何を企んでいる、提督。
だが、構わん。 各艦、敵先頭艦に砲撃を集中せよ。
[帝国戦艦──格で劣るウルケルの巡洋艦らの猛攻にその1隻を失っている──は、セオリー通りに狙い撃つ。
その間も、南東へのゆっくりとした弧を描く航路は維持していた。
ウルケル艦の主砲もまた吼える。
慣れた海、傭兵として実戦を重ねてきた砲手の狙いすました斉射が、先程、複葉機の爆弾を受けて煙を上げていた二番艦の主砲を叩く。
折しも発射されかかっていた弾薬と誘爆して、鉄がめくれ上がった。]