シェット…シェットラント・マルシュナーは、卒業後、公国に戻りました。
二年前時点で、軍部で働いている旨の手紙を受け取った事もありますが……その後は、わかりません。国境間を超えての連絡を取ることができる状況ではなくなりましたから。
……再会、しないことを願っています。
[口に出した後輩の名は、士官学校時代に知られていたシェットラント・マーロウの姓とは異なるもの。
軍人として仕官しているなら、ここでの再会…敵味方に分かれて顔を合わせる可能性も決して低くはない。
無意識に、胸元に手を当てる。
そこには、お守りのように持ち歩いている銀糸のハンカチーフが入っていた]