[両旗艦が噛みあうようにする、その北側、艦首から黒煙を上げる戦艦アードラーの姿がある。アードラーの甲板上では、消火が進められている。バランスを失い、海流に流される船足は目に見えて遅くなった。だが巡洋艦が射程に───いや、見える限りは、その後を追い留めんとの意を消しはしないのだが。前方には届かぬと見た副砲が、後続の巡洋艦二隻へと向けられる。が、躊躇うようにして砲弾が放たれることはなかった。両巡洋艦が、戦艦二隻にあまりに近かったが為である。]