[震えた声に気づいて、俺は片手で自分の口元を押さえ込んだ。こんなことで動揺したら、守ると決めたばかりの人も守れないだろう。息を吸う。深く。それを吐き出す。そっと静かに。それを数度繰り返して、無理やり頭も心も冷静にさせた] 信じられる人間、疑うべき人間が確定したこと。 我々が喪ったものは大きいですが、進路が決まっただけでも喜ばしいことです。 あとは敵国《クロトフ》の思惑を潰すために、喪いたくない人を守るために。 尽力するだけですね。[静かに落とした声音には、己の甘さや迷いとの決別を込めた]