── ⇒医務室:ガートルード ──
[ 眠っている間、どこか懐かしい夢をみたような気がする。
小さなガートルード。
子供ながらの小さな手が、眠ったナネッテの目に触れるのだ。
それは、現実でも彼女が、血の気が引くほどに心配し。>>111
傍にいてくれたからだとは、思いもよらないが。
同じように、手を心臓へと宛てたことがある。>>112
ちょっぴり泣きべそな顔をして、でも花が綻ぶように笑ってくれて。
失敗作の心臓と、役立たずの心臓と、思っていたことは分からなくとも。
その心臓の鼓動に、どうしてか兄を思い浮かべたのだったか。
境遇の似た所為か、記憶のどこかを刺激したのかもしれなくて。]