[ やがて薄緑の瞳は再び前を見据え、足を踏み出す。向かった先は清々しい笑みを見せる守人の方、ではなく、少し離れた場所、最後の瞬間にトールが手放した長柄刀が、半ば地に突き刺さるようにして在る場所だ。
手ずから刀を引き抜き、身を引いて控えるトールの前に歩み寄ると、抜き身の刃を彼の方へと向け...肩に剣先を乗せた ]
見事だった。我が剣、トール・アイヒマン。
今よりお前を、俺の近衛に任ずる。
[ ほんの短い賛辞と一方的な命。
だが、このいくらか破天荒な公子は、今までどう懇願されようとも、近衛兵を傍に置いた事が無い...とは、テンガの兵なら知る事実の筈だ ]