― 回想 ―
わぁっ。すごーい!
ほんとうに、きれい!
[それから数年後、大きくなった少年はあの時取れなかった宝物を見事に手にしてきた。
少年がそうだと信じているのだから、少女にとってもあの時の煌めきそのもの。>> 108
自分にもと渡されたことが嬉しくてたまらなかった]
たいせつにするねっ!
ぜったいなくしたりしないから!
[紐を通してもらって胸に下げた。母親にも自慢げに見せた。
父の所へ行く時も、それは服の上で揺れていた。
谷から落ちた時も、お守りを握るようにギュッと掴んだ。
発見された時にも、それは手の中に握りこまれていた*]