[投げ落とされた黄金の槍が纏うのは、勇者のそれとも魔王のそれとも違う力。
どこか冷たく無機質なものを感じさせるもの。
衝撃が巻き起こした土煙が鎮まった頃、唐突に声が、響く]
「……争いを持ってのみ、全てを決するは愚昧」
「……斯様な事を繰り返し、ただ、『混沌』に沈むような世界は不用」
「故を持ちて浄化する」
「……全ての存在に、無への回帰を」
[歌うように吟ずる声が響いた後、再び黄金の槍が生み出される。
それが落ちるのは、魔王城──ではなく。
世界各地の、争いの起きている場所へ向けて、次々と降り注ぐ。
それは、世界そのものを滅ぼそうとでもいうかの如き、無慈悲なる攻撃だった。**]