[ともあれ、動くと言うのであれば、迅速に。そう思うからこそ、支度を整えるのは早く。それぞれの準備が整った所で、転移術の発動、となるのだが] ……先に断わっておきますけれど、驚かないでくださいね?[大掛かりな術を使う事は避けていたから、まともに触媒を見せるのは、多分、この時が初めてだっただろう。だからこそ、そう言い置いてから常に持ち歩いている銀の短剣を引き抜き、躊躇いなく右の手の甲に突き立てる。零れた紅は、人差し指にはめた指輪へと流れ落ち、それに応じて、血石が色鮮やかに輝いた]