[ そうして。
目を見開くことになる。
その顔が、溶けた餅のように、ふんにゃりと、崩れたから。>>85
こんな状況で。
誰かを疑い、殺さなければならない状況で。
この男は笑うのだ。
助かってよかったと、無理をせずに休め、と言って。
その言葉は上っ面のものではなく、心からのものであると。
観察眼に長けたナネッテは見抜いて、しまう。
だから。 ]
…………貴方、
お人好しにも程があります。
[ 困ったように、情けないように、眉を下げた。
くしゃり、目の前の男のようには顔を溶かすことは出来なかったけれど。
どこかほっとしたように、その口元を緩めてみせただろう。 ]*