― 八幡 甲板 ―
[雷撃の一撃が効いているのだろう、
男が思った以上、刃は気持ち良いくらいに
海老の腹に収まりその身を割いた。
>>144視界の端に主の姿を見止めるも、
脇腹の傷を抑えても尚翳らぬ動きを確認出来たならば、
男は目の前の海老に意識を集中させた。
子弟二人でかかれば、甲板の海老は見る間に沈黙してゆくか。
割かれてびちびちしている海老の頭を、
鳴丸が咥えてばりっと音を立てれば、
海老は身を残し丁度良い食料として甲板に並んでゆく。
どうやら頭(のおそらく中身)気に入ったらしい鳴丸は、
周囲に海老の死屍累々を築いていっていたが、
今一時見ないふりをしておいた。]