[記憶の糸が、幾重にも絡む。帝国からも公国からも気配を感じず、逃げおおせた暗殺犯。殺人者の汚名を着せられ、そして死亡したとされるエルンスト・ヒンメル。そして、カサンドラを攫った彼に似たという男。] ………………ふぅ。[カップを持ち上げたまま、一つ、溜息が零れた。] ……後で、ダーフィトと話してみるかぁ。[そう、結論付けながらも。]