― 回想 ―[取ってこようとする少年の手も中々届かない。何度も何度もやっても届かない。少年の顔も強張ってくる。それが泣くのを堪えてるからだなんて少女には分からなくて]ふぇ。コンにぃ。[段々不安になってきて、ぐずりと鼻を鳴らした。それが諦める切欠になっただろうか。取ること叶わないまま家へ戻ることになった。当然のように怒られたけど、それよりも兄が悔しそうだったことが悲しくて。その日は夜もしょんぼりとしていた]