そうそう、あのクッキー、ヨアヒムも一緒にご馳走になったっけな。
[オットーの思い出話に目を細める。
慌てて食べるヨアヒムは良く覚えていた。
モーリッツと一緒に暮らしていたせいだろうか、幼い頃から妙に冷静だった青年は、一緒に出されたミルクを差し出して、”おちついて。これをのんで。”とヨアヒムに言っていた。]
うん。ヨアヒム、今でも変わってないな。
そういうところが弟みたいだから、放っておけないんだけど。
[子供だったし、には直接返事をしないで、ヨアヒムの話に頷く。
もし小さい頃はしょうがないと思う、と考えを正直に言ったら、そうでなかった自分をオットーが思い出したときに藪蛇な気しかしない。一般的に見たら慌てるオットーが普通で、冷静だった青年が変わっていたと誰もが言うにしても、だ。]