[ ようやく歳を重ねて、リヒャルトにも多少は落ち着きが出て来たかと思った頃、今度は、帝国から投げ込まれた爆弾のようなドロシーの巻き起こすトラブルと、そのトラブルに頭から突っ込んでいくリヒャルトの衝突が新たな学園名物となった。
衝突が収集のつかない騒ぎとなれば、仲裁に駆り出されるのはやはり教師の役目で...]
とんだ貧乏籤です。
[ ぼやけば、リヒャルトの入学時の裏を知る学長からはとても生暖かい視線を向けられた。 ]
「コントロールこそ未熟ですが、重複魔法詠唱を難なくこなした上、水の魔法が切れた直後の立て直しの素早さはあの歳の子供とは思えませんでした。リヒャルト・ターゲリートの才は間違いなく本物でしょう」
[ あの日、学長にそう告げたのは、間違いなくこの教師であり、結局のところ、その評価は、その後も変わってはいないのだから。]