─ 回想 ─
[保護された自分が師からまずいわれたのは、エリーザベトであったことを忘れろというもの。
その言葉にもう生家には戻れないとは悟れたものの、既に死んだものとまでされていると知ったのは予期せぬ再会によってだった。
最初その姿を見つけた時は、まさか、と思い。
エリーと呼ばれて、それが確信に変わった]
(…マリィ)
[懐かしさに、自然と浮かんだ幼い笑みと、その名前。
けれど、胸に宿る温かさのままに言葉を紡ぐ訳にはいかなかった。
彼女の言葉で己が生家では死者として扱われていると知って。
この邂逅が彼女の立場にどんな影響を与えるかわからなかったから]