ひとつの体でありながら、 ふたつの悦びを味わうことができるのだ。 おまえは他よりも多くを得て、多くを知ることができる。 これが祝福でなくて、なんだろう。[今や両手で愛しい子の火を掻き立てていた。肌に淡い爪痕を残し、陰と陽のふたつながらに触れてゆさぶり首筋を啄んで愛を囁く。] ―――呼んで。 もう一度、その名で呼んで ―――[自らは服のボタンひとつ外していないくせに吐息は甘く熱く、今にも溶け落ちそうに爛れていた。]