[石造りの壁を観察しながらも、視界の端に留めるのは襲撃の痕。
既に乾いてこびり付く名残を、口に含み、唾液と熱で融かす。
癒え切れぬ渇きを紛らわすように。
気配と共に刻まれた甘露を、僅かでも長く堪能するように。
舌先で緩く溶かしながら歩を進めれば、階段の様相は螺旋を描き始めた]
全く、居場所が特定できなくなる仕掛けが多いこと。
とは言え城の全てを把握する程、探索できてはいないけれど……
何処まで続くのかしら?
[人差し指に貼り付く名残が形もなくなる頃、螺旋に僅かな変化を感じる。
さて、螺旋は終わりを見せるのか―――――
奇数:廊下へ 偶数:扉の前へ