― 領主たる男の昏き深慮 ―
――――…暗闇の中で模索をしていた最中のことだ。
運命は至極、数奇なものだと男は思う。
血縁者たる高位の術者――従弟が。
主国の最高位の称号を得るほどの術者に成長したことが、塞ぎこんだ状態からの光明を持ち出した。
男がこの地に潜む瘴気を含め、呪いの根源すらもすべてを引き受けるならば解決法となるえるが
結果として男の身に何が起こるか不明であると説明された。
迷いもなく、引き受け手筈を整えた。
仮に自分に何が起ころうとも。
呪いが断ちきられれば
”領主で在り続けなければならない”理由が無くなれば
不自然な存在は離れるべきだろう。淡々と、ただ合理的主観で男は思う。]