[でも、それだけだ。男とは親しかった訳でなく、その胸の内を図れる筈もない。
そういえば、何時か。ディーターが船で海に出掛ける前に、「その船で何処にでも行けるのかしら。」と、まだ行ったことがない見た事も無い場所へと行けるのかと訊ねたことがあったのを思い出した。そんな事を考えてる場合ではないのに。]
ほんとうに?
人狼に殺されたくねえから……?貴方が……、それとも別の誰か?
[その質問に投げ掛ける前に早くディーターは答えをくれただろう。
付け足された理由は先程の言葉と比べれば真剣みが足りなかった。
まるで、嘘をついているみたい。
けれどもその答えに納得してクララは半ば考えるのを放棄していた。]
そうね、違いないわ。
貴方だって殺されたくないものね。