――帝国前進拠点:執務室にて――[通信機の報告で、カサンドラを攫った男がエルンスト・ヒンメルに似ていたと聞けば、ティーカップの琥珀色が僅かに揺らいだ。思い出すのは、あの血生臭い事件。先代トゥーレーヌ公暗殺の実行犯を探している最中、あの男の名を聞くこととなった。あれは本当に、ヒンメルの仕業だったのだろうか。実行犯の素行を調べているうちに、辿り着いた性癖。歳幼い少女の殺害など、むしろそちらの方が似つかわしく思える。]