― 廊下 ― ――或いは。[静かに頷き、リエヴルを乗せた車椅子を押してドアの外へ。先程よりもより一層濃くなった血の香が、予感の的中を強固なものとし。] ディークか、……あれは、[ディークの部屋は廊下を挟んで反対側だ、向かおうとした矢先、その部屋から驚くほどの素早さで廊下を駆け抜けていく彼の姿があり] ――ディーク!![咄嗟にその名を呼んだが、己の声に彼の足を留める効果があったのかは解らずに、どうする、とばかりリエヴルを見つめ。]