[それではなぜ女とはこうして共生をしているのだろうか。
ひとつは恐らく打算。女の体がアキレアの好物である他生物の病を継続的に供給できるからだ。
女はそれに“病を食わせ”、
それは女を“生かす”
そんな契約じみた共存関係が、女とそれの間には存在している。
もしその“契約”が切れることがあるならば、長年治療もせず、病の進行した体、女は直ぐに体調を崩し、やがて死に至るだろう。
極近い距離でないとそのリンクが切れるために、常に女はその生物と一緒にいた。
だから女は“生きなければならない”。
ただ“契約”を成立させるために。生きる理由がそれだけでも。
死にたくなければ、生きるしかないのだ。
もうひとつ、それは“ミル”に聞いたことがあった。
そのとき、頭に直接響く声で、それはいうのだ。
―――「気まぐれだよ」と。*]