―宿屋―
[――…フリをしていても、それでも。
男は自分へと声がかかるなら>>157返事を返す。]
ん…、これはな。『滅びた村の記録』…ってモンさ。
誰ぞ物好きなやつが掘り出してきたらしい。
中身は――とある村に狼がやって来て人間たちを食い殺してしまいましたなんて話だったっけなあ。
[子供相手ではあるけれど、ずけずけと内容を伝える。
何か――この、小さな少女が、自分へと向ける眼差しは何処か影を帯びているようで、遠慮呵責を嫌う男はそれが好ましくなかったものだから。常よりもややぶっきらぼうであるのはリゼットへ伝わったかもしれない。]