確かに川向こうには良い風が吹いていそうですが。[ 続いた言葉に、やはりと言わぬばかりの苦笑が浮かぶ。普通は、風に当たりに行けと命ずるのがあなたの役目です、と、口にするのは簡単だったが、言っても詮無いだろう。彼が自分の目で確かめようとする先には彼にしか見えぬ道が拓けていくのだから。 ]