ここからはワシの『柱』としての考えだが、美味しいものは一般的に出回るような料理にしたいのだ。生きていくには食べねばならん。だがその食べ物が旨いものであれば、怒りも悲しいことも少しは和らぐだろう?
それは100年に一度来る負の遺産を清算するとき、少しは和らげることができるようになるかもしれん。
[この子のためにもな。とお手伝いをしていたシャットラントの頭をわしわしと撫でる]
鬼族との関係もそうだ。今までワシは…キアラに会うまであまり考えたことがなかった。そこにわだかまる溝は、負を呼んでしまうと思うからな。
それをどうしたらいいかは正直ワシにはわからん。だが食文化の交流の手助けならばできる。キアラが住む島には何があるのか。そこの食材でどういうものが食べれるのか。その逆も然り。形式ばったことや思想などよりもよほどわかりやすい交流だ。とワシは思っておるぞ。
だから庶民にだって手が届く料理として使えるようにしたいとワシは考えた。
[高級品なんかはほとんどない食堂のモットーでもあった]