[最初は親友《アリーセ》と戦いたくなど無かった。ただでさえ肩身の狭い思いをするはずの彼女に、剣を向けることなど出来なかった。周りが彼女を遠ざけたとしても、私だけは、彼女の味方で在りたかったから。喩え兄《ファミル》として彼女の前に立ったとしても、傷つけるために剣は向けられなかった。一度対峙したあの時も、狙ったのは手首の拘束具のみ。容易に壊れてはくれないと解っていても、私はそれを壊したかった。彼女を、解放し《たすけ》たかった]