[やがて、影たちが運んで来た装束を身につけたヴィンセントは、実際のところ、まだ無理は利かないままに、傍目には快癒しているように見せるべく振る舞う。シャルワニの黒い立襟服は法務官服にも似て、ギィに比べれば軽装であり、言うなれば軍吏に近い。鉄灰色の胸甲に刻印された紋章は、野茨と天秤を組み合わせた個人紋章。ベルトに差した武器は青鋼の炎のごときクリスナイフ。] どこへ。[ギィの意を問うた。]