―― 霧がまだ晴れぬ中・上空 ――
[風の力を借りて後ろへと下がっても、間近で見た顔が焼き付いて離れない。
幼い頃のまま変わらない瞳の色が、まざまざと過去を突きつけるようで。
思考が千々に乱れている中での攻撃はしっかりと受け止められて(>>138)
反射的に槍をそのまま横へと薙ぎ払おうとして、それが目に入った。]
(―――――くそっ、)
[少女の胸元で揺れる二枚のコイン。
自分が捨てたはずの想い出がそこに揺れていて一瞬の動揺を誘い、その表情は苦しげに歪む。]
……ネージュ!
[故に反応が遅れた。
少女の声が耳に飛び込んだとほぼ同時に氷竜の腕が
コンラートの声と、白竜自身の危険回避の本能とで身体を引くが完全に避ける事は出来ず横腹へと一撃を受けた。
白い鱗は硬く、傷を受け血が流れるなんて事はなかったが。
その内部へと打撃ダメージはしっかりと受けてしまった。]