――博士の部屋――
[博士の容態の判断を尋ねたジークムントが、
法的な脳死の判定基準を満たしている>>149と応えてくれたのは、
目の前のジークムントが停止した後だったろうか]
……そう、か。
じゃあ、やっぱり博士の意識も心も…魂も、
もうこの身体にはないか…
[覚悟はしていたけれど、淡々と告げられた判断に、
胸奥がひどく痛んだ。数瞬、堪えるようにぎゅっと瞼を瞑ってから
視線をそのジークムントに戻して。
自分を含むHK型は壊れないという返事に、良かったとひとつ頷いてから。この機体も、博士の死による、他の兄弟機体への影響を推測していたのか、と理解する。
もう一体への影響性が不明だから、自分は博士がもう既に、
“生きている”とは思わないとは、この場では口にしないまま]