― 領主たる男の昏き深慮 ―
[領主に就いて、幾許かの時が過ぎ。どれ程髪型や服装を変えたり、メイクで誤魔化すにしても限界がある。
十にも満たぬ子どもが>>1:222妻帯を持ち、息子が彼女が出来て結婚をしようという頃だ。外見の年齢は逸脱している。
領主の男は一計を案じた。主国の首脳陣とも取引をし、数年ほど別の領主を立てて再び領主として座した。
アルバーニ家を訪れたのは、二度目の領主就任の時だった。(>>2:239)
表向きはウィルフレッド=ローティナーの隠し子として通してクレステッド=ローティナーと名を改めて、再び領主に就いた。
しかし。他国はともかく。地元領民の目を欺くにはやはり無理が祟ったようで。
相似している――同一人物だから当然だが――故に、『クレステッド』はいつから領主をしているかわからない。という噂は絶えない。
ウィルフレッドという名を捨ててまで、してきたが。やはり理を通すには限界か。]